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宝ではなく、恩寵でもなく
ばたんと勢い良く扉が開かれたのは、ウィリアムとアルテアが酒を飲んでいるところであった。 訪れた者が誰かは解っていたものの、ゆっくりと過ごす時間に騒がしいなと眉を下げた。「どうしたんだ、サラフ。君は今頃……その、風竜の城...
普遍的な愛情と局所的な慕情
鳥籠を解放し、後始末が終わると、夜会帰りに合流したらしいアルテアが顎で方向を示すのが見えた。 疲れた、と思いながらもウィリアムは拒まない。今夜、眠らせてはもらえないのだろうと判ってはいたが、腹の奥が疼くのだ。疼くまで教...
Under the Rose II
「ナカ、あつ……い……」 思わず、といった感じで溢れた言葉にそちらを見れば、ウィリアムは身体を整える事も忘れ、力尽きたのかくたりと目を閉じていた。身体を繋げてみれば、ウィリアムも愉しんでいたようであったし、アルテア自身...
Under the Rose
何を思ったのか、何を見たのか。 自らの喉を突いて、自死を選んだ終焉の魔物は、その血と想いの裔として、選択の魔物と、欲望の魔物の派生を形作った。 意識と存在の有り様を選択し、顕現した先に倒れ伏す白い姿に長い髪を払い、アル...