どこかにそんなあわいや影絵がないとは言い切れない。
資質が結ばないので♤が遠慮しないで♦️を伴侶にしようと動くやつ。
「……アルテア。覚悟を決めて下さい」
「は? お前は何を言っているんだ」
にっこりと、けれど底知れぬ笑みを浮かべたウィリアムが、ソファにくたりとしどけなく座るアルテアの上に屈み込んだ。
「どうにも諦めきれないので、あなたを奪う事にしたんです。全力で行きますから、逃げても無駄ですよ」
「……どうしてそうなる」
片手で顔を覆い、アルテアが呟いた。
「どうしてでしょうね……アルテアが俺を起こしたのは。 鳥籠が連日……五年も続いた間、俺に食事を持ってきてくれたのは。 俺のこの目に、あなたの色があるのは。 どうしてなんでしょうね」
「……くそ」
悪態をつこうが、ウィリアムは構わず覆い被さったまま、満足げな笑みを浮かべている。
「断られても、諦めきれなかったんですよ。 あなたも、何も手元に残さないと言いながら、俺の事は残したでしょう?」
「お前の方が階位が高くて壊せなかっただけだな」
「あなたになら、出来たはずですよ。 俺が自壊するように仕組む事だって。 なのに……未だに、俺を月に一度は飲みに誘うでしょう? もう待たないし、逃す気はないんです」
「…………やれやれだな」
ウィリアムの触れるような口付けは、拒否されなかった。