仮初めと失われた選択

 いつものように事故に遭ったネアを追い、そのあわいに飛び込んだはずだった。 無事捕まえることが出来たので、今回は危険な目に遭わせず済んだかと安堵したその時に、選択を司る王の前に不思議な選択肢が示されたのだ。  いわく『あ...

君に届け

 肌寒い日が増えてきたリーエンベルクで、エーダリアは思う。 自分の貰った守護の指輪の煌めきに、その守りの潤沢さと贅沢さを。ここに来るまでどれだけ泥濘の中を這い回り、苦汁を舐めた事か。 そしてその指輪を持てたことの意味を、...

きつねのきもち

「いや、私は脱がないからな?………ノアベルト」「うんうん。でも試してみるのは良いんじゃないかなあ……」  相変わらず、酔うと脱ぎ始める魔物であったが、今回はエーダリアの隣に座っていたせいか、犠牲者は絞られていた。 指を滑...

けだまのきもち2

 中庭に面した小部屋で、ムグリスに擬態したディノが可愛らしい、とネアが無邪気に喜んでいる。 今日はこの小部屋でのお茶をしようという話だったので、皆で集まっているのだ。  最初はノアベルトがボールの話を始めてしまい、ああこ...

けだまのきもち

「…………その、ノアベルト、脱がないようにするのだぞ?」「……………ありゃ。脱いじゃ駄目だったっけ?」  駄目かぁ、と言いがらもボタンを外し、ノアベルトはにこにこしながら服を脱ぎ捨てようとしていた。 アルテアの誕生日に、...